2026.10.09
アトピー腸活の嘘②|腸内フローラは何種類に増えたら健康なんですか? ——便が出にくい人のほうが、菌の種類は豊富だった—— 名古屋・本山整体サロン 吉川真介

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腸活の嘘②|腸内フローラは何種類に増えたら健康なんですか?
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——便が出にくい人のほうが、菌の種類は豊富だった——
名古屋・本山整体サロン 吉川真介
「腸内フローラの多様性を高めましょう」。
もう、合言葉みたいになっています。
多様性が高い=健康。
多様性が低い=不健康。
——そういう前提で、話が進んでいます。
じゃあ、聞きます。
何種類に増えたら、健康なんですか。
今、自分が何種類なのか知っていますか。
そして、何種類まで増やすのが目標なんですか。
名古屋市名東区・千種区で、アトピーや慢性不調の方を診続けて15年以上。
僕自身も、生まれてすぐから40年、アトピーでした。
今日は、この「多様性」を調べます。
腸活の嘘①はココ
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そもそも、何を数えているのか
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まず、ここを分けておきます。
多様性と言うとき、数えているものが違います。
一つ、菌の総数。何匹いるか。
二つ、種類の数。何種類いるか。
三つ、偏り。その種類が均等にいるのか、一種類が大半を占めているのか。
この三つ、別の話です。
たとえば、100種類いても、そのうち一種類が9割を占めていたら。
「種類は多い」けれど、「中身は偏っている」。
専門的には、一人の腸の中の多様性をα多様性、人と人の違いをβ多様性と呼びます。
名前はどうでもいいです。
覚えてほしいのは、これだけ。
「種類が多い」と「バランスがいい」は、同じではありません。
ところが、腸活の広告で言われる「多様性」は、ほぼ種類の数の話です。
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「健康な腸」の基準が、まだありません
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前回も触れた、2025年の国際的な合意文書。
『The Lancet Gastroenterology & Hepatology』誌。
18か国、69人の専門家が集まってまとめたものです。
そこで指摘されていることが二つあります。
一つ。
それぞれの菌について、「健康な人ならこの範囲」という基準の幅を示すだけの情報が、足りない。
二つ。
腸内細菌の検査を、日常の診療で広くルーチンに使うことを推奨するにも、証拠が足りない。
つまり、菌の一つひとつについて「多い・少ない」を判定する線が、まだ引かれていないということです。
では、多様性のほうはどうなのか。
ここは、はっきり分けて書きます。
この合意文書は「健康な多様性は何種類から」という基準値を示したものではありません。
ただ、個々の菌の基準すら決まっていない段階です。
その足し算である「健康な多様性の正解」が、きれいに決まっていると考えるのは無理があります。
線がないのに、「高めましょう」と言われている。
——どこを目指して走っているんでしょうか。
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ここからが、面白い話です
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多様性を左右するものに、意外なものがあります。
便が出るまでの時間です。
食べたものが大腸を通過する時間。
これが長い人と、短い人がいます。
2016年、『Nature Microbiology』誌に出た研究。
結果は、こうでした。
大腸の通過時間が長い人ほど、菌の種類が豊富だった。
しかも、それだけじゃありません。
腸の中で、タンパク質を分解する方向の代謝が強まっていた。
そして、好ましくない可能性のある代謝産物も増えていた。
——ちょっと待ってください。
菌の種類は、増えている。
でも、腸の中で起きていることは、良い変化と言えるでしょうか。
ここで、通過時間が長い人というのが、どういう人か考えてみてください。
便が、なかなか出ない人です。
整理すると、こうなります。
便が出にくい。
菌の種類は、豊富に出る。
でも、腸の中では望ましくない代謝が進んでいる。
【「菌の種類は多いほど健康」という説明では、辻褄が合わなくなりませんか】
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しかも、便の状態がいちばん効いています
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ここも、知っておいてほしいところです。
大人数を対象にした集団研究で、こう報告されています。
便の性状——つまり、どれくらいやわらかいか、硬いか。
これが、便の中の菌の構成を説明する、最も重要な単一の要因だった。
サプリでも、ヨーグルトでもなく。
便の状態です。
通過時間と便の性状が、菌の量、代謝、種類数、構成を大きく左右している。
ということは、こうなります。
便が何日も出ていない人。
ずっとやわらかい人。
その状態のまま、菌だけ足しても——
土台のほうが、先に数字を動かしてしまいます。
僕が「腸活より先に便通を見る」と言っているのは、精神論ではありません。
数字を動かしている大きな要因が、そこにあるからです。
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実はこの疑問、微生物の研究者も持っています
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2024年、微生物生態学の専門誌(ISME Journal)に、こんなタイトルの論文が出ました。
「多様性だけでは、動物のマイクロバイオームが健康かどうかを確実には示せない」。
主に野生動物などを対象に、多様性の指標だけで健康状態を判断することの問題を検討したものです。
人間の腸だけを調べた臨床研究ではありません。
そこは正確に書いておきます。
ただ、指摘の中身は読む価値があります。
多様性が高いことが、病気の少なさと相関する場面はある。
でも、それが普遍的な法則ではない。
生態学のモデルでは、多様性が高すぎると、かえって不安定になる場合や、安定を保つために強い競争が必要になる場合も考えられる。
だから、多様性の数値だけを見て「この腸は健康」「この腸は不健康」と結論するのは問題がある。
——研究者の側にも、この疑問はあるんです。
街の腸活では、ここは語られません。
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では、アトピーはどうなのか
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ここが、いちばん聞きたいところだと思います。
「アトピーの人は、腸内細菌の多様性が低い」。
よく言われます。
僕も、そう聞いてきました。
2025年に出た、成人のアトピー性皮膚炎と腸内細菌の系統レビューを見てみます。
PRISMAという手順に沿って、複数のデータベースから観察研究と介入研究を集めて検証したものです。
結果は、こうでした。
研究ごとの結果は、ばらついている。
そして——
健康な成人と、成人のアトピーの人の間で、多様性に有意な差は確認されていない。
ただし、構成には特徴があった。
Bacteroidales。
腸内細菌科(Enterobacteriaceae)。
クロストリジウム(perfringens)。
これらが、成人アトピーの便から比較的多く見られた、と報告されています。
いちばん正確に言うと、こうです。
成人のアトピーの人は、健康な人より多様性が低いとは限らない。
「種類の数」では差が出ていない。
「顔ぶれ」には、違いがある。
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よくある三段論法を、分解します
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アトピーの腸活の話は、だいたいこの三段で進みます。
一段目。
「アトピーの人は、菌の種類が少ない」。
二段目。
「だから、多様性を高めよう」。
三段目。
「だから、乳酸菌や発酵食品を増やそう」。
——で、聞きたいんです。
この三つのうち、どの段階が証明されているんでしょうか。
一段目は、少なくとも成人のデータでは、はっきりしていません。
二段目は、上げた先に何があるのかという線が引かれていません。
三段目は、菌を足して多様性や症状がどう動くか、人によって違います。
一段目が揺らいでいるのに、三段目まで一本につながっている。
ここが、僕がずっと引っかかっているところです。
二つ、注意してください。
一つ、これは成人の話です。乳児や小児のデータは別に扱う必要があります。
二つ、顔ぶれに違いがあることと、それがアトピーの原因であることは、別の話です。
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じゃあ、多様性は無意味なのか
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いいえ。
ここは誤解してほしくありません。
多様性は、研究の世界ではよく使われる指標です。
集団と集団を比べるとき。
食事を変えて、前後で比較するとき。
前回紹介した発酵食品の研究でも、多様性が上がったことが一つの結果として報告されています。
観察する指標としては、意味があります。
問題は、そこではありません。
それが個人の目標になってしまったときです。
「あなたの多様性は○○でした。だから上げましょう」。
——その「上げた先」に何があるのかが、まだ決まっていない。
【多様性は、測るものです。目標にするには、まだ線がありません】
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僕が、代わりに見ているもの
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では、何で判断するのか。
僕が最初に聞くのは、菌の種類ではありません。
何日に一回、便が出ているか。
どれくらいの硬さか。
残っている感じがあるか。
ガスは、どれくらい出るか。
お腹は、張っているか。
食後に、調子が落ちないか。
——ここです。
地味ですよね。
でも、さっき書いたとおり、通過時間と便の性状が、菌の構成を大きく動かしています。
菌を足す前に、動かせるところがあるということです。
そして、三か月前と比べる。
肌は、一日単位では判断しない。
ここは前回と同じです。
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「腸内フローラを調べたけど、どう読めばいいのか分からない」。
「多様性が低いと言われて、不安になった」。
「便通とお腹の張りが、ずっと安定しない」。
そう感じている方は、LINEで【土台チェック】と送ってください。
便の回数と状態、お腹の張り、今やっている腸活、肌の経過。
そこから、何が先かを一緒に決めます。
「腸内細菌の多様性を高めましょう」。
そう言われたら、一つ聞いてみてください。
「何種類になれば、健康なんですか」。
「増えたら、何が良くなるんですか」。
菌の種類が豊富でも、腸の中で望ましくない代謝が起きていることがある。
成人のアトピーでも、健康な人との多様性の差は、はっきりしていない。
なのに、多様性を高めること自体が目的になっている。
そこが、おかしいと思うんです。
もちろん、多様性を調べることには意味があります。
でも、検査で高い数字が出たからといって、あなたの便秘が治るわけではありません。
アトピーが良くなるとも限りません。
【腸内細菌の種類が多いことと、健康であることは、別です】
次回は、乳酸菌100億個。
1000億個。
あの数字の正体を調べます。
そもそも、飲んだ菌は本当にあなたの腸に住みついているんでしょうか。
名古屋・本山整体サロン
吉川真介
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
愛知県名古屋市千種区本山
東山線 本山駅から徒歩1分
〒464-0819
愛知県名古屋市千種区四谷通1丁目23
アルファランドビルB1
本山整体サロン
#名古屋整体 #本山整体 #千種区整体 #名東区整体 #アトピー #腸活 #腸内フローラ #腸内環境 #体質改善 #アトピー整体 #本山整体サロン
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(本文で触れた資料)
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International consensus statement on microbiome testing in clinical practice.
The Lancet Gastroenterology & Hepatology. 2025;10(2):154-167.
Roager HM, et al. Colonic transit time is related to bacterial metabolism and mucosal turnover in the gut.
Nature Microbiology. 2016;1:16093.
Vandeputte D, et al. Stool consistency is strongly associated with gut microbiota richness and composition, enterotypes and bacterial growth rates.
Gut. 2016;65(1):57-62.
Diversity alone does not reliably indicate the healthiness of an animal microbiome.
The ISME Journal. 2024;18(1):wrae133.
Díez-Madueño K, et al. Gut Dysbiosis and Adult Atopic Dermatitis: A Systematic Review.
Journal of Clinical Medicine. 2025;14(1):19.
腸活の嘘②|腸内フローラは何種類に増えたら健康なんですか?
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——便が出にくい人のほうが、菌の種類は豊富だった——
名古屋・本山整体サロン 吉川真介
「腸内フローラの多様性を高めましょう」。
もう、合言葉みたいになっています。
多様性が高い=健康。
多様性が低い=不健康。
——そういう前提で、話が進んでいます。
じゃあ、聞きます。
何種類に増えたら、健康なんですか。
今、自分が何種類なのか知っていますか。
そして、何種類まで増やすのが目標なんですか。
名古屋市名東区・千種区で、アトピーや慢性不調の方を診続けて15年以上。
僕自身も、生まれてすぐから40年、アトピーでした。
今日は、この「多様性」を調べます。
腸活の嘘①はココ
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そもそも、何を数えているのか
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まず、ここを分けておきます。
多様性と言うとき、数えているものが違います。
一つ、菌の総数。何匹いるか。
二つ、種類の数。何種類いるか。
三つ、偏り。その種類が均等にいるのか、一種類が大半を占めているのか。
この三つ、別の話です。
たとえば、100種類いても、そのうち一種類が9割を占めていたら。
「種類は多い」けれど、「中身は偏っている」。
専門的には、一人の腸の中の多様性をα多様性、人と人の違いをβ多様性と呼びます。
名前はどうでもいいです。
覚えてほしいのは、これだけ。
「種類が多い」と「バランスがいい」は、同じではありません。
ところが、腸活の広告で言われる「多様性」は、ほぼ種類の数の話です。
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「健康な腸」の基準が、まだありません
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前回も触れた、2025年の国際的な合意文書。
『The Lancet Gastroenterology & Hepatology』誌。
18か国、69人の専門家が集まってまとめたものです。
そこで指摘されていることが二つあります。
一つ。
それぞれの菌について、「健康な人ならこの範囲」という基準の幅を示すだけの情報が、足りない。
二つ。
腸内細菌の検査を、日常の診療で広くルーチンに使うことを推奨するにも、証拠が足りない。
つまり、菌の一つひとつについて「多い・少ない」を判定する線が、まだ引かれていないということです。
では、多様性のほうはどうなのか。
ここは、はっきり分けて書きます。
この合意文書は「健康な多様性は何種類から」という基準値を示したものではありません。
ただ、個々の菌の基準すら決まっていない段階です。
その足し算である「健康な多様性の正解」が、きれいに決まっていると考えるのは無理があります。
線がないのに、「高めましょう」と言われている。
——どこを目指して走っているんでしょうか。
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ここからが、面白い話です
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多様性を左右するものに、意外なものがあります。
便が出るまでの時間です。
食べたものが大腸を通過する時間。
これが長い人と、短い人がいます。
2016年、『Nature Microbiology』誌に出た研究。
結果は、こうでした。
大腸の通過時間が長い人ほど、菌の種類が豊富だった。
しかも、それだけじゃありません。
腸の中で、タンパク質を分解する方向の代謝が強まっていた。
そして、好ましくない可能性のある代謝産物も増えていた。
——ちょっと待ってください。
菌の種類は、増えている。
でも、腸の中で起きていることは、良い変化と言えるでしょうか。
ここで、通過時間が長い人というのが、どういう人か考えてみてください。
便が、なかなか出ない人です。
整理すると、こうなります。
便が出にくい。
菌の種類は、豊富に出る。
でも、腸の中では望ましくない代謝が進んでいる。
【「菌の種類は多いほど健康」という説明では、辻褄が合わなくなりませんか】
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しかも、便の状態がいちばん効いています
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ここも、知っておいてほしいところです。
大人数を対象にした集団研究で、こう報告されています。
便の性状——つまり、どれくらいやわらかいか、硬いか。
これが、便の中の菌の構成を説明する、最も重要な単一の要因だった。
サプリでも、ヨーグルトでもなく。
便の状態です。
通過時間と便の性状が、菌の量、代謝、種類数、構成を大きく左右している。
ということは、こうなります。
便が何日も出ていない人。
ずっとやわらかい人。
その状態のまま、菌だけ足しても——
土台のほうが、先に数字を動かしてしまいます。
僕が「腸活より先に便通を見る」と言っているのは、精神論ではありません。
数字を動かしている大きな要因が、そこにあるからです。
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実はこの疑問、微生物の研究者も持っています
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2024年、微生物生態学の専門誌(ISME Journal)に、こんなタイトルの論文が出ました。
「多様性だけでは、動物のマイクロバイオームが健康かどうかを確実には示せない」。
主に野生動物などを対象に、多様性の指標だけで健康状態を判断することの問題を検討したものです。
人間の腸だけを調べた臨床研究ではありません。
そこは正確に書いておきます。
ただ、指摘の中身は読む価値があります。
多様性が高いことが、病気の少なさと相関する場面はある。
でも、それが普遍的な法則ではない。
生態学のモデルでは、多様性が高すぎると、かえって不安定になる場合や、安定を保つために強い競争が必要になる場合も考えられる。
だから、多様性の数値だけを見て「この腸は健康」「この腸は不健康」と結論するのは問題がある。
——研究者の側にも、この疑問はあるんです。
街の腸活では、ここは語られません。
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では、アトピーはどうなのか
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ここが、いちばん聞きたいところだと思います。
「アトピーの人は、腸内細菌の多様性が低い」。
よく言われます。
僕も、そう聞いてきました。
2025年に出た、成人のアトピー性皮膚炎と腸内細菌の系統レビューを見てみます。
PRISMAという手順に沿って、複数のデータベースから観察研究と介入研究を集めて検証したものです。
結果は、こうでした。
研究ごとの結果は、ばらついている。
そして——
健康な成人と、成人のアトピーの人の間で、多様性に有意な差は確認されていない。
ただし、構成には特徴があった。
Bacteroidales。
腸内細菌科(Enterobacteriaceae)。
クロストリジウム(perfringens)。
これらが、成人アトピーの便から比較的多く見られた、と報告されています。
いちばん正確に言うと、こうです。
成人のアトピーの人は、健康な人より多様性が低いとは限らない。
「種類の数」では差が出ていない。
「顔ぶれ」には、違いがある。
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よくある三段論法を、分解します
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アトピーの腸活の話は、だいたいこの三段で進みます。
一段目。
「アトピーの人は、菌の種類が少ない」。
二段目。
「だから、多様性を高めよう」。
三段目。
「だから、乳酸菌や発酵食品を増やそう」。
——で、聞きたいんです。
この三つのうち、どの段階が証明されているんでしょうか。
一段目は、少なくとも成人のデータでは、はっきりしていません。
二段目は、上げた先に何があるのかという線が引かれていません。
三段目は、菌を足して多様性や症状がどう動くか、人によって違います。
一段目が揺らいでいるのに、三段目まで一本につながっている。
ここが、僕がずっと引っかかっているところです。
二つ、注意してください。
一つ、これは成人の話です。乳児や小児のデータは別に扱う必要があります。
二つ、顔ぶれに違いがあることと、それがアトピーの原因であることは、別の話です。
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じゃあ、多様性は無意味なのか
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いいえ。
ここは誤解してほしくありません。
多様性は、研究の世界ではよく使われる指標です。
集団と集団を比べるとき。
食事を変えて、前後で比較するとき。
前回紹介した発酵食品の研究でも、多様性が上がったことが一つの結果として報告されています。
観察する指標としては、意味があります。
問題は、そこではありません。
それが個人の目標になってしまったときです。
「あなたの多様性は○○でした。だから上げましょう」。
——その「上げた先」に何があるのかが、まだ決まっていない。
【多様性は、測るものです。目標にするには、まだ線がありません】
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僕が、代わりに見ているもの
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では、何で判断するのか。
僕が最初に聞くのは、菌の種類ではありません。
何日に一回、便が出ているか。
どれくらいの硬さか。
残っている感じがあるか。
ガスは、どれくらい出るか。
お腹は、張っているか。
食後に、調子が落ちないか。
——ここです。
地味ですよね。
でも、さっき書いたとおり、通過時間と便の性状が、菌の構成を大きく動かしています。
菌を足す前に、動かせるところがあるということです。
そして、三か月前と比べる。
肌は、一日単位では判断しない。
ここは前回と同じです。
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「腸内フローラを調べたけど、どう読めばいいのか分からない」。
「多様性が低いと言われて、不安になった」。
「便通とお腹の張りが、ずっと安定しない」。
そう感じている方は、LINEで【土台チェック】と送ってください。
便の回数と状態、お腹の張り、今やっている腸活、肌の経過。
そこから、何が先かを一緒に決めます。
「腸内細菌の多様性を高めましょう」。
そう言われたら、一つ聞いてみてください。
「何種類になれば、健康なんですか」。
「増えたら、何が良くなるんですか」。
菌の種類が豊富でも、腸の中で望ましくない代謝が起きていることがある。
成人のアトピーでも、健康な人との多様性の差は、はっきりしていない。
なのに、多様性を高めること自体が目的になっている。
そこが、おかしいと思うんです。
もちろん、多様性を調べることには意味があります。
でも、検査で高い数字が出たからといって、あなたの便秘が治るわけではありません。
アトピーが良くなるとも限りません。
【腸内細菌の種類が多いことと、健康であることは、別です】
次回は、乳酸菌100億個。
1000億個。
あの数字の正体を調べます。
そもそも、飲んだ菌は本当にあなたの腸に住みついているんでしょうか。
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(本文で触れた資料)
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International consensus statement on microbiome testing in clinical practice.
The Lancet Gastroenterology & Hepatology. 2025;10(2):154-167.
Roager HM, et al. Colonic transit time is related to bacterial metabolism and mucosal turnover in the gut.
Nature Microbiology. 2016;1:16093.
Vandeputte D, et al. Stool consistency is strongly associated with gut microbiota richness and composition, enterotypes and bacterial growth rates.
Gut. 2016;65(1):57-62.
Diversity alone does not reliably indicate the healthiness of an animal microbiome.
The ISME Journal. 2024;18(1):wrae133.
Díez-Madueño K, et al. Gut Dysbiosis and Adult Atopic Dermatitis: A Systematic Review.
Journal of Clinical Medicine. 2025;14(1):19.

